油絵って準備が大変、工程も複雑そう…
そんなイメージを払拭できないかなと思い、私がいかにシンプルな工程で描いているか、実際に制作しながら記事にしてみました。
本来は動画が一番分かりやすいと思うのですが、制作動画というのは意外と難しいのですね…
絵を描く作業と動画の撮影を同時に行うということが、全く別の技術というか、かなり混乱してしまい、ひとまず見送り。
私にとってはもう少し慣れと研究が必要みたいなので、今回はこまめに画像を撮って解説してみることにしました。
いつかはできれば動画にしたいと思っており、チャレンジ中です。
目次
- 1 【簡単!猫の描き方 制作風景1】写真を選び、トリミング
- 2 【簡単!猫の描き方 制作風景2】猫型に切り抜き、下塗りしたキャンバスに仮留め
- 3 【簡単!猫の描き方 制作風景3】額に入れてみる
- 4 【簡単!猫の描き方 制作風景4】トレースダウン
- 5 【簡単!猫の描き方 制作風景5】色を作る
- 6 【簡単!猫の描き方 制作風景6】絵の具を塗る
- 7 【簡単!猫の描き方 制作風景7】陰影をつける
- 8 【簡単!猫の描き方 制作風景8】質感を出す
- 9 【簡単!猫の描き方 制作風景9】細部の描き込みをする
- 10 【簡単!猫の描き方 制作風景10】ひげを描く
- 11 【簡単!猫の描き方 制作風景11】サインを入れ、完成!
- 12 【簡単!猫の描き方 まとめ】
【簡単!猫の描き方 制作風景1】写真を選び、トリミング
スマホに撮りためた写真の中から、ポーズが可愛かったこちらの猫を選びました。
光景的には今回特にこれといった魅力も無いので、猫と影のみ採用して、あとは無背景にします。
【簡単!猫の描き方 制作風景2】猫型に切り抜き、下塗りしたキャンバスに仮留め
写真をカラーコピーし、猫部分を切り抜きます。切り抜いた外側も使いたいのでとっておきます。
切り抜いた猫を構図を意識しながら下塗り済キャンバスに仮留めします。
背景ありの場合は切り抜かず、そのままキャンバスに合わせて折り込み、位置を調整します。
下塗りは猫の毛色が引き立ちそうな色合いを何となく意識し、その都度感覚的に作っているので、ある意味適当です。
写実系の私の絵の中では、もっとも自由度の高い工程でもあるので、割とリラックスしながらやっています。
今回は全体を黒でベタ塗りして乾燥させた後、コバルトターコイズという色をまばらにはたくようにのせ、再度乾燥させたものです。
【簡単!猫の描き方 制作風景3】額に入れてみる
仮留めしたキャンバスを額に入れてみます。今回のような無背景パターンの場合は特に、ほぼこれが完成イメージです。
ちょっと離れたり、時間を置いたりして眺めながら、構図はここで最終調整します。
ここにきて背景色がしっくり来ないなー、と思ったら、思い切って違う色合いで下塗りしたキャンバスに差し替えることもあります。
猫は毛色も雰囲気も様々なので、最初に塗ったキャンバスも、そのうち出番があるだろう、ということで。
【簡単!猫の描き方 制作風景4】トレースダウン
切り抜いた外側を使い、猫の輪郭を取ります。内側からなぞることで、塗った後に下書き線が残りません。
猫の切り抜きを使い、その他のトレースダウンをします。背景色が濃いので、白色を使いました。
トレースダウン後はこんな感じです。これは輪郭を若干強く描きすぎてしまいましたが、当たりをつける程度が良いです。
【簡単!猫の描き方 制作風景5】色を作る
私がいつも使用している絵の具は、ウィンザー&ニュートンです。発色が気に入っています。
始めにパレットに出した色はこちらです。
描いていく中で不足する色は追加していきます。
パレットはペーパーパレットを使っているので、使い終わったらめくって捨てるだけ。面倒な手入れも不要です。
パレットナイフを使い、混色します。今回の猫は茶トラ&白ということで、写真を見ながら、まずは大まかに4色くらい作りました。
元々は、感覚的に色々混色して作っていたので、毎回偶発的なものに頼るところが多く、
再現に自信が無かったのですが、
そんな中でもずっと猫を描いているうち、最近はようやく色数も減り、パターン化してきたようです。
茶トラの時は、バーントシェンナ、カドミウムオレンジ、クロームイエローとホワイトでほぼ表現しています。(陰影は除き)
ちなみに画溶液(絵の具を薄める溶き油)について触れていませんでしたが、私は殆ど使いません。
油絵具は元々顔料と乾性油を練り混ぜて作られているので、そのまま使用しても特に問題は無いようです。
ヒゲや瞳などの細部、シャープな物体を描くときなど、粘度が少ないほうが都合が良いときは若干ペインティングオイルで薄めます。
あと、絵の具が古くて固くなってきたときなど…(極力買い換えますが)
【簡単!猫の描き方 制作風景6】絵の具を塗る
先ほど作った色を、まずは下書きに沿って塗っていきます。
細筆できっちり塗り分けるというよりは、固めの筆で、下書き線を意識しながらラフにのせていく感じです。
【簡単!猫の描き方 制作風景7】陰影をつける
影の部分に濃い色をのせてぼかします。
陰影の色は写真を見ながら、場所によって変化をつけます。
ここで、青みがかった暗い色が欲しかったので、プルシアンブルーを追加しました。
ここまでの工程を終えた状態↓
【簡単!猫の描き方 制作風景8】質感を出す
猫の毛色の境目、輪郭付近を筆先でバサッとはらってかすれさせ、毛の雰囲気を出します。
かすれ描き、ドライブラシといわれているものです。
固めの筆や細い筆を併用し、多少のずれは気にせず、偶然の筆ムラを生かす感じです。
私の絵を遠くから見ると「毛の1本1本まで細密に描いている」と思われることもあるのですが、
画像でバレバレの通り、実は細密描写は殆どしてないです。
おそらく、ドライブラシ技法の効果による錯覚なんだと思います。
【簡単!猫の描き方 制作風景9】細部の描き込みをする
細部の描き込みをします。
同時に陰影と質感を意識しながら、ぼかし、かすれ描きなど、7,8,9の工程を繰り返す感じです。
背景の陰影もつけます。ここで、アリザリンクリムソンという赤系の暗い色を混色しました。ぱっと見、大した違いは無いですが…
同じ箇所を何度も触りすぎると、色が混ざり過ぎ、濁ってぼやけるだけになってしまうので、
上手くいかないときはしつこく描かず、一旦2日ほど置き、適度に乾くのを待ちます。
塗った色を拾わずに、上に重ね描きをしたいときは更に数日乾燥させます。
この辺りがもどかしくて油絵が苦手という人もいるようです。
私の場合ですが、絵の具を薄めずに使っているせいか、乾燥も結構早いので、特にもどかしいと感じたことはないです。
のんびり屋のせいもあるのか…?
逆にこの乾き具合によって色の乗り方やタッチが変わることで、微妙な質感を表現しやすいのが油絵の魅力かなと思います。
ここまでの工程を終えた状態↓
【簡単!猫の描き方 制作風景10】ひげを描く
そして、ある程度乾燥させたら、ひげを描きます。白にペインティングオイルを少量混ぜ、細筆の先につけます。
絵の具がべちゃっと乗らないよう、パレットの上である程度落とし、筆先を平らにならします。
説明しづらいので、ちょこっとだけ動画にしてみましたが、撮影道具が無く、描きながら片手で撮ったので手ブレしてます。すみません。
一筆書きには全くこだわらず、絵の雰囲気にもよりますが、小さな絵の時は特に、無理に細い一本の線にしようともしません。
結果、全体を見た時に、他の部分とのバランスで、自然なひげに見えれば良いと思っています。
【簡単!猫の描き方 制作風景11】サインを入れ、完成!
額に入れた時にサインが切れないよう、開始位置の下に軽くしるしをつけてから描くようにしています。
これで完成!
【簡単!猫の描き方 まとめ】
今回は1つの作品の制作風景を例にとって解説するため、特に題材も工程もシンプルに、を意識して制作してみましたが、私の絵の基本的な描き方はどれも大体こんな感じです。
また、制作準備~作品完成までの全体的な手順についてはこちらで解説しています。↓
かなり自己流ですので、「油絵の描き方」というよりは、
油絵の具を使ったこういう猫の描き方もあるのか、という感じで参考にしていただけたらと思います。
コメントを残す