気軽に油絵制作を楽しむための【油絵のにおいと汚れ】対策法

油絵に抵抗があるという方の理由として、「あの独特のにおいがどうも苦手」「汚してしまったら落ちないのでは?」というのが結構多いと思います。

確かに、昔を思い出してみると学校の美術室って入った途端に油絵のにおいが立ちこめていたような気がします。

私も夏場は部活動中に気持ち悪くなったことが何度かあります。

また、汚れが落ちにくいのも事実ですが、それだけ長持ちする丈夫な画材でもあるということ。

そんな、ちょっとクセのある「油絵の具」と上手く付き合うための、においと汚れ対策法をまとめてみました。

油絵のにおい対策

無臭クリーナーを使う

油絵のにおいの原因の一つが、筆洗液(ブラシクリーナー)の石油系溶剤臭によるものです。

これが気になる場合は、オドレスクリーナーという、溶剤臭を除去したものがあります。ただし、通常のものより若干洗浄力は弱めのようです。

また、石油系ではなく界面活性剤の入った水性のクリーナーもあります。私は主にこちらを使用しています。

独特の溶剤臭も無いですし、洗浄力も特に問題ないです。ただ、水性クリーナーは制作後の洗浄用のため、描画中の使用には適しません。

私の場合は、よほど細部の描写以外は制作中に筆を洗うことはあまりなく、絵の具を落としたい場合はペインティングオイルをつけて拭き取る程度です。

その代わり筆は色の系統ごとに増えていき、その日の制作終了後にまとめて洗うというスタイルなので、水性クリーナーのみでほぼ困らないです。

それぞれの描画のスタイルにより、無臭クリーナーと使い分けるのが良さそうです。

筆を使う回数を減らす

これは、筆以外の道具を上手く使い、単純ににおいの元となる筆洗液を使う回数を減らすという意味です。

私は、工程にもよりますが、ペインティングナイフ(拭き取るだけでOK)綿棒(使い捨て)など、筆にこだわらず使えそうなものは色々使います。

例えば、広い面積をベタ塗りする時、大きな刷毛筆でやろうとすると、結構な量の絵の具が筆に吸われるので、洗うのも時間がかかります。

下塗りで私がよく使うのは、化粧用スポンジ。きめが細かいので割とムラ無くきれいに塗れます。

塗り終わったらくるんで使い捨て。筆洗液を使わないのでにおいも手間も少なく、しかも安価で使い勝手が良いのでおすすめです。

画溶液をあまり使わずに描く

油絵の具そのものは実はそれほどにおいは強くなく、絵の具を溶くための画溶液、特に揮発性油(テレピンなど)のにおいが強烈とよく言われています。

画溶液には、乾性油と揮発性油があります。これらをあらかじめ調合したのがペインティングオイルなので、この中の揮発性油の成分がにおいの原因の一つとなります。

ということは、画溶液をあまり使わなければにおいも少なくてすむのでは?

油絵の具は顔料に乾性油が入っており、その乾性油が酸化することによって固着するので、そのまま塗っても特に問題はないです。

私は実際画溶液を使わずそのまま混色して塗ることが多いです。

ちなみに、こんな感じで描いてます↓

【簡単!猫の描き方】油絵なのに超シンプルな猫の描き方を解説

2020年7月24日

描きたいものや描き方によるので、あくまで極端な例です(^^;)

一つのパターンとして挙げました。

においの少ない画溶液を使う

なるべく粘度の少ないサラサラの状態で描きたい、細密描写が基本、という場合は画溶液を使わないわけにいきませんよね。

最近では無臭ペトロール、オドレスルソルバン、低臭ペインティングオイルなど、画溶液自体ににおいを減らす工夫がされているものが結構あるようです。

※においが除去されていても、元の成分は基本的に一緒なので、換気は忘れずにきちんとしましょう。

水溶性油絵の具を使う

油絵の具なのに水に溶ける、という画溶液要らずの「デュオ」という絵の具があります。

絵の具に界面活性剤が含まれていることで水と油が混ざり合うしくみのようです。

水で薄められて、筆も水洗い可能なので、画溶液と筆洗液が不要となり、においの心配が無くなるというわけです。

画面につやを出したいなどの場合、専用の画溶液もあり、通常の油絵と同様の描き方もできます。

色数は100色と豊富で、価格は普通の油絵の具とほぼ同額くらいという印象です。

水彩感覚で手軽に始められるのは魅力的ですね。私も一度使ってみたいなと思っています。

小品制作中心にすればにおいストレスも軽減

絵の具を塗る面積が大きいほど、やはりにおい問題も大きいです。

以前大作を描いたときは、ちょっとしんどかったです…(換気不足もありましたが)

一般的な部屋で制作するには、10号以下が無難かと思います。

需要という意味でも、そのまま家に飾るにしろ、人に贈るにしろ、小作品の方が都合が良いです。

先ほど挙げたにおい対策+小作品制作中心にすれば、ほぼストレスなく油絵を楽しめると思います。

油絵の汚れ対策

使い捨てのエプロンやかっぽう着でガード

油絵の具は一度付いてしまうと簡単には落ちないので、基本的には汚れてもいい服装で描くのが一番です。

ただ、なるべく服は汚したくないし、ちょっとの空き時間に制作を進めたい、という時もありますよね。

そんな時には、使い捨てのエプロンでガードすると安心です。袖付きのかっぽう着タイプだとさらに安心。

PE製で数十枚単位で売っています。
大きめのゴミ袋に穴を開けて代用するという方法も。(長時間だと蒸れそうですが…)

使い捨て手袋で指先ガード

下塗りの時などは特にキャンバス全体を塗るため、どうしても指先が汚れます。

爪の間に入ってしまうと洗ってもなかなか落ちない時があるので、汚れそうな作業の時にはあらかじめ使い捨て手袋をすると安心です。

キッチン用とか掃除用に100枚入りとかで売っている薄い簡易的なもので充分です。

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スポンジを使い、下塗り中。

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終わったら、丸ごとひっくり返して…

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縛って捨てる。

塗り終わったらスポンジごとひっくり返して縛って捨てればOK。におい対策にも。

PE製で蒸れますので、長時間には向かないですが、汚れるよりは全然いいのでおすすめです。

保管場所を工夫する

制作中はかなり気をつけていても、イーゼルに乗せたまま乾燥させていると、ついうっかり体が触れてしまったり。

服だけでなく、せっかく描いた絵まで汚れてしまうという二重のショックになりかねないので、保管場所を設けましょう。

クローゼットなどが都合良くあれば良いのですが、そんなスペースない(T_T)という私のような方の場合、こんな方法はいかがでしょうか。

・百均のスチールラックを使う
組立て式の金属製の棚です。パーツごとに売られていて組み合わせ自由なので、高さや段数も変えられます。

とてもシンプルな作りなので、組立ても簡単です。

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小作品は全て、この棚に乗せて乾燥させています。キャスターも付けられるので、においが気になる時は移動できるのも便利です。

・突っ張り棚を使う
これも、百均で揃います。
突っ張り棒を2本張り、その上にワイヤーネットを結束バンドで固定するだけ。

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元は普通に物置のために設置したのですが、ちょっと大きめな絵を乾燥させる時にも重宝しています。

突っ張り棚は大体高いところに付けるので、普段の生活でうっかり触れてしまうこともないです。

また、部屋の上部の方が大体室温も高いので、乾燥にも適しています。
(でも湿度やホコリには気をつけましょう)

汚してしまった時は

どんなに気をつけていても、汚れるときは汚れるので、最後に落とし方を。

油絵の具が衣服に付いてしまったら、とりあえず一旦制作は中断して、なるべく早めに落としましょう。乾くほど落ちづらいです。

一番手っ取り早いのは、筆洗液です。汚した部分の裏に当て布をし、筆洗液を含ませた布でポンポンとたたき落とします。

これを焦らず何度か繰り返せば、大体汚れは落ちますので、この後普通に洗剤で洗いましょう。

または、台所用の中性洗剤でも落ちます。

まとめ

油絵のにおいと汚れ対策のポイントをまとめると、

におい対策
・無臭クリーナーを使う
・画溶液の種類によりかなり差がある
・画溶液の使用量を調整する
・水溶性油絵の具もある
・小作品制作中心にするとあまり気にならない

汚れ対策
・あらかじめ汚れてもいい服装で
・使い捨てのエプロン等でガードする
・指が汚れないよう使い捨て手袋を適宜使用
・保管場所を工夫する
・汚れてしまったら早めに落とす

油絵はちょっと意識して対策すれば、全然扱いづらい画材では無いです。

むしろ色合いや質感、耐久性など魅力の方が大きいので、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか(^^)

油絵に必要な道具の基本的なものはこちらに載せてます↓

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