アクリル絵の具初心者が、油絵風に猫を描いてみました。

普段は油絵の具で猫絵制作をしている私ですが、

「アクリル絵の具でも油絵風に描けるのか」をテーマに、アクリル画に初挑戦しました。

実際に使ってみた特徴や使用感をまとめてみたので、これから使ってみたいという方の参考になればと思います。

アクリル絵の具について、まずは下調べ

アクリル絵の具とは?

「アクリル絵の具」ってそもそもどんな性質のものなんでしょうか。

私自身が初めて使うので、調べてみた結果を簡単にまとめると

・顔料にアクリル樹脂を混ぜ合わせて作られた絵の具
・水溶性で、水で薄めて水彩風に描くことも、薄めず油絵風に描くことも可能
・乾くと耐水性になり、耐久性も高い

ちなみに、アクリル絵の具の中でも「アクリルガッシュ」という種類の絵の具があるのですが、

こちらは不透明でマットな仕上がり、発色が良いという特徴がある反面、樹脂が少ないため厚塗りするとひび割れすることがあり、耐久性は若干劣るようです。

デザイン画やイラストに向いている絵の具とありましたので、今回私がやろうとしている「油絵風に描く」目的からすると「アクリル絵の具」が良いようです。

画材屋に行くと、近いところに並んでいるので、目的に応じて間違えないように選びましょう。

アクリル絵の具のメリット、デメリット

メリット
・乾燥が速く、重ね描きがしやすい
・耐久性が高い
・水彩のようにも油絵のようにも描くことができ、表現に幅がある
・何にでも描ける
デメリット
・乾燥が速く一度固まると溶けないので、中断しづらい
・水分が抜けることで固まるので、乾くと若干体積が減り、何度か重ねないと厚塗り感が出しづらい
・水で薄めて描くと、乾燥後の色合いが若干濃いめに変わる

使い方に細かいルールが少なく、基本的にはメリットが多く扱いやすい絵の具のようです。

アクリル絵の具と油絵の具の違い

一般的な特徴で比べると、

アクリル絵の具
・水溶性
・乾燥が速い
・ほぼ無臭
・絵の具のツヤ感はあまりない

油絵の具
・水に溶けない
・乾燥が遅い
・独特のにおい(特に画溶液)
・絵の具に独特のツヤ感がある

ざっくりこのような感じかと思います。

そして今回、私が初めてアクリル画を描いてみようと思った最大の理由は「乾燥が速い」ということ。

実は数日後にとある展覧会に出品する予定があり、出せる作品は他にもあるにはあったのですが…

日程が詰まっている中で、アクリル画の特徴を生かせば、もしや新作を間に合わせることも可能なのか!?

という、ちょっとぶっ飛んだ発想から挑戦するに至ったわけです。

失敗したとしても、やっぱいきなりは無理があったかー(^^ゞという結論になるだけで、経験にはなるので、とりあえず完成を目指してみることにしました。

描いてみてわかった、アクリル絵の具の特徴

とにかく乾燥が速い

アクリル画といえば、乾燥が速い。というイメージだけは以前から何となくあったのですが、実際使ってみたら、こりゃなかなか忙しい。

予備知識で覚悟はしていたものの、混色して、さあ塗っていこうと進めていたら、数分後。あ…もう固まり始めてる(>_<)

画面の方の乾燥が速いのはまあ良いのですが、問題なのはパレット上の絵の具も同じようにすぐ乾いていってしまうこと。

私はもともと混色をよくするほうなので、せっかく作った色がもう乾いちゃったよー、という状態。

めげずに、混色をなるべくシンプルにして、乾いたらまた作るを繰り返しました。

その結果、描き終わった後のパレットがこんなことに…

説明用画像

紙パレットなんだから途中で取り替えればいいだけの話なんですが、何か謎の芸術作品みたいで面白いと思って(^^;)

薄めずにタッチを生かす自分の油絵の描き方で基本的には押し通しましたが、常に固まることを念頭に置いて描いたという点は大きな違いでした。

次回は乾燥を遅らせる遅乾剤を使ってみるなど、描き方を研究してみたいと思います。

↑その後実際にスロードライジェルメディウムという遅乾剤を試したところ、だいぶ乾燥時間を延ばすことができたので、愛用しています。

においはほとんど無い

油絵に比べてにおいが無いというのも、アクリルで描く理由でよく挙げられます。

下塗りとかで多めに絵の具を使った時だけ、ほんの少し木工用ボンド?っぽいにおいがしましたが(私個人の感覚です)まあほとんど無臭と言って良いかと思います。

筆はこまめに洗った方がいい

油絵を描くときは、筆を何本か使い分け、一日の最後にまとめてきちんと洗う程度で充分だったので、ここも大きく違うところでした。

アクリル絵の具の乾燥の速さは筆に付いたものも当然同じなので、ちょっと放っておくとすぐに固まって来てしまいます。

後から石鹸で洗えば落ちるようですが、筆を持ち替えるときは、その都度水で洗っておいた方が無難です。

同じ筆で同じ色を塗っている場合でも、乾いてきたなと思ったら、たまに水に漬けて拭き取り、作業を続けるという感じでした。

筆洗い用のバケツか容器は常に必須のようですね。

筆は、アクリル用を買っていなかったので油絵用ハードリセーブルを使ったら丁度良い感じでした。豚毛も試しましたがアクリルにはあまり合わないようです。

油絵風にも割と描ける

今回の主な目的としては、油絵を描く時と同じような描き方でどこまでアクリル絵の具を扱えるか、乾燥の早さを逆手にとって完成を早められるか、というものでした。

そのため、なるべく描きやすいモチーフと構図を選んだのもあったのですが、自分としては油絵と似たような感覚でほぼ描けたかな、と思います。

ただ、画面上の微妙な混色は手早く行わないと少し難しいかも知れません。乾いた上に重ねて色の変化をつけるというのが基本の画材なのかな?

のんびり屋向きでは無いかも!?

下塗りに関して言えば、むしろ速く乾いてくれることですぐに描画に進めるのでメリットの方が多いと感じました。

油絵の下塗りとして使われるジェッソというのもアクリル系なので、アクリル下塗り+油絵で描画であれば違和感なくできそうです。

描画に関しては、ずっと油絵で慣れてきた私としては、とにかくパレット上の絵の具の乾燥の速さとどう付き合うかに限るという印象でした。

今回は「リキテックスレギュラータイプ12色セット」のみを使って描いたのですが、他のタイプや「メディウム」という質感や乾燥速度を変える添加剤を使えばまた違うのかも。

いずれにしろ、のんびり進めたい人にはあまり向かず、「乾燥時間がもどかしい、速く進めたい」人の方がおそらく向いているでしょう。

私も基本のんびり屋ですので油絵の方が描きやすいですが、状況に応じて使い分けてみようかな、と思っています。

仕上がりはこんな感じ

初挑戦のアクリル画、何とか展示に間に合わせることができました。
(いやー我ながらよく間に合ったなー)

作品画像

ちょっとだけコツを掴んできたので、また是非描いてみたいです。

2022年6月追記:

チューブから絵の具を出してすぐに、スロードライジェルメディウムという遅乾剤をあらかじめ混ぜ込んでおくという1工程を加えることで、乾燥速すぎる問題はだいぶ解決しました。(少し面倒ですが水で薄めない描き方の場合はおすすめです。)

最近では、むしろ制作時間の短縮を優先して、アクリル絵の具を使用することが多くなりました。ただ油絵の魅力も捨てがたいので、今後は描く題材や制作時間の都合などによって使い分けていくことになりそうです。

まとめ

油絵猫作家の私がアクリル画に初挑戦してみた感想は、

・想像はしていた以上に、かなり速乾で焦る
・塗った感触は油絵と比べ、ぺちゃっとした感じ
・ほぼ無臭
・発色は鮮やかだが、油絵の具に比べ深みには若干欠ける
・速乾なので筆が固まりやすい
・どちらかと言えばのんびり屋よりもせっかち向き
・汎用性が高く、特性を掴んで使いこなせば、かなり便利な絵の具

あくまで1枚描いてみただけなので、まだまだ研究が必要ですが、

いきなり難しいことをやろうと思わなければ、基本的にはとても扱いやすく作られた絵の具という印象でした。

※一度固まると落ちにくい絵の具なので、服などを汚さないように気をつけて使いましょう!

アクリル絵の具の色の作り方については、こちらを↓

基本色セットで作る、いろんな【色の作り方】アクリル編

2022年1月31日

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