油絵はもともと西洋絵画ということもあり、聞き慣れないカタカナの技法や用語がちょいちょい出てきてすんなり入ってこない…と抵抗感を感じている方も多いのでは?
私も最近まで、たまたま手に取った「油絵具」という画材で何となく描き続けていたためか、技法とか専門用語について深く意識したことが無かったのですが、
それなりに続けていると、展示会場等で「どうやって描いているの」「どんな技法を使っているの」と聞かれることがあるため、毎回うまく説明できずに困っていました。
以前、全体的な描き方の流れについては、
制作風景については、
で紹介しましたが、
特に技法については掘り下げていなかったので、今回はあらためて技法に目を向けてみることにしました。
実は、私が無意識にやっていたことも何らかの技法に該当していることが結構あったので、該当しそうなものは画像も添付しています。
目次
カマイユ
白と褐色系(バーントシェンナ、イエローオーカー等)のみで明暗を表現する方法です。
油絵ではこの技法のみ単体で使用するというよりは、描き始めの段階で使われることが多いです。
あまりきちんとやれてませんが、例えばこんな感じ↓
グリザイユ
白と黒のみ(モノトーン)で明暗を表現する方法で、カマイユの一種とされています。
こちらもカマイユと同じく、油絵の最初の段階で明暗を描き分けておくことで、その後の彩色をスムースにするために使われることが多いです。
グラデーション
色の濃淡、明暗、色彩を段階的に変化させること。色をぼかしたり、中間色を何段階かに塗り分けることで色の変化につながりを持たせます。
スフマート
グラデーションの中でも、輪郭線や色の境目が分からないほど繊細でなめらかなぼかし表現。イタリア語で「煙のような」という意味だそうです。
レオナルド・ダ・ヴィンチの技法として知られているようですが、一般的に耳にすることは少ないかもしれません。
私も今回調べて初めて知りました。
グレージング(グラッシ)
乾いた下塗りの上に、透明または半透明の絵の具を薄く塗り重ねていく透かし技法。色に独特の深みや透明感を持たせる効果があります。
私は猫の目を描くときによく使います。
ドライブラシ
固めの絵の具を豚毛などのバサバサした筆で払ったりこすりつけるように塗る技法。かすれ描きとも呼ばれます。
私が猫の毛を表現するとき、圧倒的によく使う技法です。
割と最近まで、そういう技法名があるとは知らずにやっていましたが…(^^;)
スパッタリング
絵の具を指や金網などを使ってはじき、飛ばす技法。粒が飛び散ったような独特な雰囲気があります。
私はまだチャレンジしたことが無いのですが、絵の具の濃さや飛ばし方などで、偶発的な面白さがありそうなので、背景表現などで試してみたいなと思っています。
スカンブリング
グレージングが透明色で行うのに対し、不透明色(または半透明)で行う透かし技法で、下地の色が不規則に透けて見える。擦りぼかしともいう。
夜空の薄雲の部分↓ 乾いた暗い下地の上に白系の色を薄く被せているので、おそらくこの技法に該当するかと思います。
ドリッピング
絵の具を垂らして描く技法。ジャクソン・ポロックの絵画に用いられている技法として有名です。
筆や棒の先に付けて垂らす、直接垂らす、垂らした絵の具をキャンバスを傾けることで変化をつけるなど、色々なやり方があるようです。
偶発的な効果を生かした技法のため、主に抽象画で使われるイメージですが、スパッタリング同様、私のような写実系絵画にも背景などで取り入れられたら面白いかも…とは思います。
インパスト
絵の具を厚く盛り上げて描く技法。または筆跡や絵の具の質感を生かした厚塗り。
絵に詳しくないという方でも、油絵というとこの描き方をイメージする方が結構多い気がするのは、有名なゴッホやモネの絵画によく使われているからでしょうか。
全体的に凸凹した絵のみを想像しがちですが、ハイライトなど部分的に厚塗りを使っている絵は結構あります。
私の絵も基本的に厚塗りが多いです。
特に葉の部分は近くで見るとただの絵の具にしか見えないです。
絵を離れて見た時と近くで見た時とで違った見え方をするのがインパストの面白さ、というのが私が感じる印象ですが、好みは分かれるかも知れません。
ウエット・イン・ウエット
下に塗った絵の具が乾く前に色を塗り重ねる技法。キャンバス上で自然に混ざり合うことによるグラデーションなどの表現ができます。
乾かないうちに描くので、早く進めたい時などにも向いていますが、同じ箇所を何度もしつこく触りすぎると変に濁った雰囲気になってしまったりするので、加減(やめどき)が肝心です。
私は気持ちが乗っている時に一気に描く性格のためか、かなり多用する技法です。
空のグラデーションを出すときに使いました↓
絵の具の固さや下塗りの乾き具合で現れる効果が違ったりするので、同じ効果で統一したい部分は時間を空けずに進める、逆に濁り過ぎるようなら少し時間をおくなど、タイミングを大事にしています。
マチエール
材質、素材を意味するフランス語(英語ではマテリアル)で、絵画においては絵肌や絵の質感という意味で使われている。
言葉の説明だけだと何となく分かりづらいですが、例えば、
・キャンバス地を生かして描く
・地塗り材を使って凸凹させる
・凸凹のない滑らかな画面にする
・厚塗りや薄塗り、様々な技法により画面の印象に変化をつける
など、それぞれに表現した絵肌そのものをマチエールと呼ぶようです。
まとめ
油絵のおもな技法や用語について調べてみました。
・カマイユ
・グリザイユ
・スフマート
・グレージング(グラッシ)
・ドライブラシ
・スパッタリング
・スカンブリング
・ドリッピング
・インパスト
・ウエット・イン・ウエット
・マチエール
他にもまだまだあると思いますが、これから制作を続けていく中で、私自身も更に知識を深めていきたいです。
実際に描く時はあまり技法にとらわれる必要は無いと思いますが、知識として把握しておくことで、今後同じ表現を再現するとき、他の人に自分の作品を説明するときに役立つと思います。
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